1月29日に発生した神奈川県西部の深発地震の影響:
1月29日21:20、神奈川県西部で震源深さ約150km、マグニチュード4.8が発生。気象庁の震度データベースで調べると、神奈川県西部で震源深さ150㎞よりも深い地震では最大のマグニチュードであった。このデータベースは1919年以降のものなので、約100年間で最大のものとなる。
同データベースで神奈川県西部、震源深さ150㎞よりも深い、M4.0以上で調べると、該当する地震が1月29日のものを除いて、以下の4件起こっている。そして、そのどれでも関東付近での比較的大きな地震が一月以内に後続している。
1.1935年3月14日、震源深さ157km、M4.6、最大震度1:3月31日に福島県沖M6.4。
2.1977年5月8日、震源深さ160km、M4.2、最大震度2:5月13日に小笠原諸島西方沖M5.9。
3.1995年6月30日、震源深さ165km、M4.2、最大震度1:7月3日に相模湾M5.2、7月8日に三陸沖M6.0。
4.2020年5月27日、震源深さ153km、M4.0、最大震度2:6月1日に茨城県北部M5.2、6月25日に千葉県東方沖M6.1。
上の4件の推移からしだいに関東平野付近での地震が起こるようになっていると推測できると思う。2020年5月の地震から見ると、1月29日の地震はずっと規模が大きい。Mが1大きくなるとエネルギーは32倍なので、Mの違いが0.8あることはエネルギーが20倍以上異なることを意味している。そのため、関東付近の陸域でM6、海域でM7程度の地震が今後数日から一ヵ月程度の期間で起こる可能性がかなり高いと思われる。
理屈としては次のようなことのはず。
①深発地震が起こると、海溝部から沈み込んだ海のプレートの沈み込みが活発化して、海溝部に下向きに引っ張る力がより大きく働くようになる。
②その結果、海溝部から陸のプレートに働く水平の圧力が大きくなり、これが陸域での地震を起こす。
③陸域で地震が起こると、その分陸の地盤が詰まり、海溝部の噛合いが弱まるため、海溝部がずれる大地震の発生が後続する。
日本気象協会の震央マップを見ると、1月30日05:30までの30日間で震度1以上の地震が130件発生している。これから7日間での地震数を求めると30件になる。しかし、実際には過去7日間で19件の発生しかない。約3割の減少であり、この1週間で震度1以上地震の減少が起こっている。
同様に、2月2日01:30までの7日間では13件の震度1以上地震があったことが分かるが、過去30日間では126件だ。それぞれ1日あたりの発生数を計算すると、1.86件、4.20件であり、過去7日間では半分以下の発生数になっていることが分かる。
このような地震数の減少は、静穏期と呼ばれ、大きな地震発生の直前に起こることがよくある。
なお、2021年9月14日に東海道南方沖で震源深さ385㎞、M6.0が発生、同10月7日に千葉県北西部でM5.9、最大震度5強が起こっている。これはほぼ東京湾北部と言っていい位置。
2022年2月21日に遠州灘で震源深さ356㎞、M5.0が発生し、その約40日後の3月31日に東京湾を震源とするM4.7、最大震度4が起こっている。
東海道南方沖で2009年8月9日震源深さ333km、M6.8が起こり、その翌々日である同8月11日には駿河湾で震源深さ23km、M6.5の最大震度6弱、その更に二日後の8月13日には八丈島東方沖で、震源深さ57km、M6.6、最大震度5弱が発生した。
では、現実に関東付近でM6以上地震が起こるかどうかだが、短期的、つまり、数日の期間で予測が比較的高い確率で出来る方法がある。それは、Hi-net自動処理震源マップの「最新24時間」、「日本全国広域」などのN=の値の変動を見ることだ。例えば、「最新24時間」の「東日本」のN=の値が通常は200±20程度だが、これが150を下回るようになると東日本で比較的大きな地震が数日中に起こる傾向がある。より狭い範囲を見ることもある程度できる。それは「千葉県」などの県別のデータを見ることだ。「千葉県」、「最新7日間」でそれまでのN=の値が3割以上減少するようなことがあると、やはり数日中に千葉県付近でM5以上地震が起こる傾向がある。「千葉県」などの県別の値は「最新24時間」のデータはなく、「最新7日間」と「最新30日間」のデータしかない。「最新30日間」のデータは期間が長すぎるのか、大きな地震の発生前の変動はあまり見られないため、「最新7日間」のデータを毎日決まった時刻に記録して、前日の値と比較して行くことだ。
念の為に、1月30日10:30の値を記しておく。なお、「日本全国広域」と「東日本」などの-の後にある値は2月1日10:30の値。つまり、既にかなりの微小地震の減少が発生していると思える。但し、県別の値はあまり大きな変動をまだ見せていない。そのため、仮に数日中に大きな地震が起こるとするとそれは海域での地震である可能性が高い。
Hi-net自動処理震源マップ:
「最新24時間」
「日本全国広域」:285-224
「日本全国拡大」:285
「北海道」:25
「東日本」:169-139
「本州中部」:121
「西日本」:109
「最新7日間」
「福島県」:295-241
「茨城県」:442-396
「栃木県」:339-301
「群馬県」:210-170
「埼玉県」:249-209
「千葉県」:205-206
「東京都」:119-118
「神奈川県」:170-155
「静岡県」:188-199
あまり可能性として大きくはないと思うが、今回の前兆で予測される首都圏地震(関東付近でのM6以上地震)が発生してしまうと、その後、関東陸域でM5からM6以上地震が一気に頻発するようになると予測している。多分、最も可能性が高い筋書きは、まず最初に伊豆諸島付近での大津波を伴ったM7以上地震起こること。(1605年慶長地震は陸域の揺れがあまりなく、東北から九州にかけて津波被害があった。この地震の推定震源域の一つが伊豆鳥島付近。この伊豆鳥島付近での大津波を伴った地震が起こる可能性が高いと思う。)この地震によって、伊豆小笠原海溝からの太平洋プレートの沈み込みが大きくなり、それが関東付近での陸域の地盤に係る太平洋プレートからの圧力を大きくする。これが内陸の地震を起こす。つまり、首都直下地震だ。(首都直下地震で最も可能性が高いのが東京湾北部から霞ケ浦西方付近を震源とする震源深さが50キロから80キロ程度のM7地震。震源深さがある程度深いため、広い範囲で揺れが起こる。関東平野は地下深くの硬い地盤の上に軟らかい体積土壌が載っている構造であるため、地震波が硬い岩盤に反射して何度も表面を揺らす。それだけではなく、土丹層という比較的硬い地盤が地表からかなり浅い位置にあり、多くのビルの支持基盤として使われている。つまり支持杭がこの土丹層に打ち込まれている。この土丹層が地震縦波を受けて支持杭を破壊する可能性が高いと思う。それだけではなく、鉄筋コンクリートのビルの低層階がパンケーキ崩壊を起こす可能性もかなり大きいと思う。)関東陸域でM6以上地震が起こると、陸の地盤がその分詰まって、縮小する。結果的に海溝部分の固着が緩む。これがプレート境界型のM8以上地震の引き金を引くことになることがある。つまり、千葉県付近の緯度の日本海溝が滑って、M8程度の地震が起こる。当然、大津波を伴う。このような大きな地震の連続があるだけでなく、その後は、内陸のM5以上地震、それも比較的震源深さが浅い地震が頻発するようになるはず。なぜなら、関東付近の緯度で海溝部が大きく滑った結果、陸域の地盤に係る力が大きく変化してしまうからだ。
首都直下地震(関東陸域のM6以上地震)の直接的な被害は震源がある関東付近だが、経済的な被害は2011年の東北M9地震を大きく上回り、100兆円を軽くこすと思われる。その為、日本全国だけでなく世界的な影響がある。円安が相当に進むだろうし、世界的にも大きな経済的な変動が起こっていくことになる。なによりも、北米大陸西岸でのM9地震発生が連想されるだろう。そして、これはイエローストン噴火につながっていく可能性もある。
なお、先日、BonaFidr(オールドメディアが伝えない海外のニュース)というサイトで、「迫り来る次の金融危機では複数の銀行が同時破綻する可能性大+取り付け騒ぎを防ぐため『国民に知らせるのは慎重に』ー米連邦預金保険公社(FDIC)の諮問委員会で議論」という今年1月13日の記事を読んだ。ベイルイン(Bail in) という制度があり、それは破綻した金融機関の損害を株主や預金者に負わせるというものだという。つまり、金融機関が破たんした場合、例えば、預金者に対しては、その預金の払い戻しの代わりにその破綻した銀行の新株が渡されたりすることだという。日本では金融機関の破たん処理に、相変わらず公的資金注入という形が取られているが、アメリカではリーマンショック時に公的資金での金融機関の救済に批判が強まり、結果的に公的資金投入前にその金融機関の関係者に破たん処理の費用負担を求めるということが法律で決まった。つまり、金融機関が破たんした場合、それまで高給を取ったり大きな儲けを得ていた関係者をそのままにして公的資金を投入して金融機関救済をするのは不公平であり、彼らに破たんの付けを負担させるべきだということ。
現在、日本から米国株式への投資が非常に大規模に行われている様子だが、大丈夫だろうか。
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