10月前半の地震の起こり方:
東北、関東、九州である程度大きな異常です。
9月後半からの異常が10月前半も続いています。9月前半までの30日間のデータと、9月後半から10月前半までの30日間のデータを比べて、変化している点を*で述べています。
東北:
8月後半から9月前半までの30日間:
34件(陸域:8件、海域:26件)(福島県以南:5件、宮城県以北:29件)(M4以上:16件、47%)(震度1:19件:56%)(陸域÷海域=8÷26=0.31)(宮城県沖:14件、41%)(福島県沖:3件、9%)
9月後半から10月前半までの30日間:
18件(陸域:5件、海域:13件)(福島県以南:3件、宮城県以北:15件)(M4以上:6件、33%)(震度1:8件:44%)(陸域÷海域=5÷13=0.38)(宮城県沖:6件、33%)(福島県沖:1件、6%)
*海域の地震数がこの10月前半までの30日間ではかなり減っています。また、9月前半までの30日間では宮城県沖地震が14件も発生していますが、10月前半までの30日間では6件で半分以下に減少です。しかし、これは、宮城県沖M6が9月12日に発生した影響があるからです。問題は福島県沖地震が9月7日の次が10月14日であることです。36日間も福島県沖地震の発生が無い期間が続いたため、今後、福島県から茨城県北部付近でのかなり大きな地震が起こりやすくなっています。
関東:
8月後半から9月前半までの30日間:
27件(陸域:13件、海域:14件)・(震度1:14件:52%)・(M4以上:9件:33%、陸域:2件、海域:7件)・(伊豆・小笠原:2件:7%)(M4以上の震度1:2件:7%)茨城県沖:8件、茨城県南部:4件、茨城県北部:5件、千葉県東方沖:3件、(茨城県計:17件、全体に対する割合:63%)(千葉県地震:5件、全体に対する割合:19%)(千葉県陸域地震:1件、全体に対する割合:4%)
9月後半から10月前半までの30日間:
26件(陸域:12件、海域:14件)・(震度1:18件:69%)・(M4以上:9件:35%、陸域:2件、海域:7件)・(伊豆・小笠原:8件:31%)(M4以上の震度1:4件:15%)茨城県沖:4件、茨城県南部:2件、茨城県北部:7件、千葉県東方沖:1件、(茨城県計:13件、全体に対する割合:50%)(千葉県地震:3件、全体に対する割合:12%)(千葉県陸域地震:1件、全体に対する割合:4%)
*上の記載では分かりませんが、茨城県北部地震が8月30日の後、9月12日まで12日間発生がありませんでした。茨城県北部地震は311大地震以降多発傾向があり、2週間近く発生が無いことはかなり珍しいことです。東北地方で福島県沖地震が減少していることと併せて、福島県から茨城県北部にかけての比較的大きな地震が起こりやすくなっていると思います。
千葉県地震が9月前半までの30日間では5件発生していましたが、10月前半までの30日間では3件のみで、茨城県地震の13件に対して、千葉県地震の静穏化傾向が出ています。このことは特に10月前半に顕著で、茨城県地震7件に対して千葉県地震は1件のみです。また、関東全体の地震数も、陸域と海域の地震数の比もあまり変化がないのですが、伊豆・小笠原での地震数に大きな変化が出ています。つまり、急激に伊豆・小笠原での地震がこの30日間で増加しているのです。この傾向は特に10月前半に起こっていて、次に示すように、9月後半が2件であったものが、10月前半は6件も発生しています。
参考までに、関東地方については9月後半と10月前半の集計データを載せておきます。
09月後半:10件(陸域:06件、海域:04件)・(震度1:06件:60%)・(M4以上:4件:40%、陸域:2件、海域:2件)・(伊豆・小笠原:2件:20%)(M4以上の震度1:1件:10%)茨城県沖:0件、茨城県南部:1件、茨城県北部:5件、千葉県東方沖:1件、(茨城県計:6件、全体に対する割合:60%)(千葉県地震:2件、全体に対する割合:20%)(千葉県陸域地震:0件、全体に対する割合:0%)
10月前半:16件(陸域:6件、海域:10件)・(震度1:12件:75%)・(M4以上:5件:31%、陸域:件、海域:5件)・(伊豆・小笠原:6件:38%)(M4以上の震度1:3件:19%)茨城県沖:4件、茨城県南部:1件、茨城県北部:2件、千葉県東方沖:0件、(茨城県計:7件、全体に対する割合:44%)(千葉県地震:1件、全体に対する割合:6%)(千葉県陸域地震:1件、全体に対する割合:6%)
九州:
8月後半から9月前半までの30日間:
19件(陸域:6件、海域:13件)(熊本県:4件、日向灘:0件、北九州:1件、南西諸島:13件、鹿児島湾:0件)、(M4以上:0件、0%)、(震度1:11件、58%)(陸域÷海域=6÷13=0.46)
9月後半から10月前半までの30日間:
27件(陸域:8件、海域:19件)(熊本県:5件、日向灘:3件、北九州:1件、南西諸島:13件、鹿児島湾:0件)、(M4以上:4件、15%)、(震度1:19件、70%)(陸域÷海域=8÷19=0.42)
*上の区分(9月15日までと9月16日以降とで分ける区分け)でははっきり出ませんが、9月前半の九州地方の震度1以上地震は次の5件だけでした。
2020年09月04日23時38分頃 トカラ列島近海 M2.7 2
2020年09月15日05時37分頃 トカラ列島近海 M3.1 2
2020年09月15日06時08分頃 トカラ列島近海 M3.4 3
2020年09月15日06時20分頃 トカラ列島近海 M3.4 2
2020年09月15日11時16分頃 トカラ列島近海 M2.9 1
つまり、9月前半で5件と言っても、4件は9月15日に起こっていて、9月1日から14日までの2週間ではたったの1件の発生だったのです。しかも、9月前半の5件は全てトカラ列島近海です。通常は熊本県地震が数割はあるのですが、熊本県地震が0件であることも異例です。
更に、熊本県地震は、
2020年08月27日13時13分頃 熊本県熊本地方 M2.6 1
の次が
2020年10月07日07時25分頃 熊本県天草・芦北地方 M2.8 2
であり、何と40日間も発生が無かったのです。そして、10月7日以降、8日間で熊本地震が5件も発生しています。
そして、九州本土の地震が少なく、南西諸島の地震ばかりが発生していた時期がありました。それが9月全体に言え、
09月分:15件(陸域:2件、海域:13件)(熊本県:0件、日向灘:2件、北九州:2件、南西諸島:9件、鹿児島湾:0件)、(M4以上:1件、7%)、(震度1:9件、60%)(陸域÷海域=2÷13=0.15)
と九州陸域の地震は15件中2件のみで、南西諸島の地震が9件と半分以上を占めていたのです。それが、10月前半は熊本地震がまた多発傾向にあり、そのため、九州陸域の地震も増加しています。
10月前半分:17件(陸域:6件、海域:11件)(熊本県:5件、日向灘:1件、北九州:0件、南西諸島:9件、鹿児島湾:0件)、(M4以上:3件、18%)、(震度1:11件、65%)(陸域÷海域=6÷11=0.55)
九州地方のこのような状況は、九州本土とほぼ同じ緯度である伊豆諸島付近で、太平洋プレートの西向き圧力がフィリピン海プレートに伝達されていないことを意味していると思えます。このことは、特に、10月になってから伊豆・小笠原海溝付近での震度1以上を観測する地震が急増していることと併せて考えると、伊豆諸島付近でのかなり大きな地震が相当に切迫しつつある可能性を示していると思えます。
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