12月9日、トカラ列島近海でM6.0。
トカラ列島近海最大震度1以上の年別集計(気象庁震度データベース)
2009年:011件
2010年:029件
2011年:063件
2012年:037件
2013年:026件
2014年:008件
2015年:018件
2016年:157件
2017年:042件
2018年:046件
2019年:021件
2020年:058件
2021年:505件(*12月7日まで)
2009年以降で見ると、頻発があったのは2016年。
トカラ列島近海2016年の月別集計:
01月:10件
02月:23件
03月:01件
04月:22件
05月:05件
06月:04件
07月:22件
08月:05件
09月:04件
10月:03件
11月:03件
12月:55件
年合計:157件
その内、2月、4月、7月、12月で20件越え。2016年は日本全国で比較的大きな地震が多発していた。
2016年(平成28年)
4月14日 熊本地震の前震 - Mj 6.5。
4月15日 熊本県熊本地方で地震 - Mj 6.4
4月16日1時25分頃 熊本地震の本震 - Mj 7.3
6月16日 内浦湾で地震 - Mj 5.3
10月21日 鳥取県中部で地震 - Mj 6.6
11月22日 福島県沖で地震 - Mj 7.4
12月28日 茨城県北部で地震 - Mj 6.3
悪石島を含む南西諸島は琉球海溝と沖縄トラフと言う二つの海溝に挟まれている。琉球海溝は九州薩摩半島南端付近から台湾にかけて南東に凸の円弧を描く海溝であり、この琉球海溝の中国大陸側にほぼ平行に位置するのが沖縄トラフ。
このように二重に海溝があるのは、多分琉球海溝からのフィリピン海プレートの沈み込みがほぼ停止してしまったからの様子。つまり、フィリピン海プレートの琉球海溝からの沈み込みに伴って、火山フロントが琉球海溝からの海のプレートの沈み込み方向に形成される。これが屋久島から諏訪瀬島とか奄美諸島の火山島になっている。しかし、フィリピン海プレートの上にある台湾島が中国大陸に衝突した結果、この付近のフィリピン海プレートの沈み込みがほぼ停止してしまった。結果的に琉球海溝から沈み込んだフィリピン海プレートは新たなマグマの生成がほぼ止まり、どんどんと温度低下していく。この結果、より沈み見込んだフィリピン海プレートの先端付近の比重がどんどんと大きくなり、ほぼそのまま垂直に沈み込んで、これが沖縄トラフを形成した。
そのため、今回の地震は火山性のものではなく、基本的に太平洋プレートからの水平方向の西向きの力を受けて、悪石島付近の地盤の構造が変化して起こったものだと推測できる。薄い木製の板の一端を固定して、その反対側から押せば、固定端のすぐ側が盛り上がり、やがてその表面に亀裂が生じるが、それと同じ現象のはず。
このことは、伊豆大島近海地震がこの4月のトカラ列島近海地震でもほぼ同時に発生している事とも整合性がある。つまり、千葉県房総半島南端付近からの伊豆・小笠原海溝からの太平洋プレートの沈み込みに伴って太平洋プレートからの西進圧力をこの付近のフィリピン海プレートが受けて、まずより遠いトカラ列島近海での群発地震になり、その結果、より近い所での歪みが発生して、それが伊豆大島近海地震になったと見ることができるから。
今回の悪石島近辺での地震多発は、悪石島の南西側にある海丘(海底からの高さが500m程度の丘)で、カッパ曽根と呼ばれるところで発生したものの様子。悪石島自体が火山島であり、この海丘も火山島であるはずで、火山があった場所はマグマが抜けた後に海水が入り込み、地層が周辺部分よりも軟になっているため、このような群発地震がたびたび起こるのだと思われる。
問題は、2016年にトカラ列島近海地震が多発した時、日本全国で比較的大きな地震が連続したこと。2016年4月に熊本地震、6月に北海道の内浦湾、10月に鳥取県中部、11月に福島県沖、12月には茨城県北部とM5からM7の地震が発生。最大震度も5強から7になる地震だった。
12月8日のHi-net自動処理震源マップの「最新24時間」「日本全国広域」を見ると、青森県から岩手県の東方沖に浅い地震が4から5個程度発生していることが分かる。この位置に「最新24時間」のマップで浅い地震が表示されることはほとんどなく、今後、東北北部から北海道南部あたりでかなり大きな地震が発生し、それが起こった直後(多分数時間から数日後)に関東付近での相当に大きな地震が発生すると思える。
関東付近で起こる地震は多様であり、東京湾北部や北関東の群馬県と栃木県の県境付近、そして、房総半島の東方沖、伊豆鳥島付近など、幾つものM6以上地震が数日から数か月程度の間隔をあけてどんどんと発生していくことになると思う。これは311大地震以降、関東付近に係る太平洋プレートの西進圧力がどんどんと蓄積しているからだ。
2015年5月30日の小笠原諸島西方沖地震M8の発生からも推測できるように伊豆・小笠原海溝からの太平洋プレートの沈み込みはどんどんと進んでいる。ところが、千葉県犬吠埼の東方にある鹿島第一海山がとても大きな固着域であり、ここで太平洋プレートの沈み込みが止められているため、この付近から太平洋プレートの大きな西進圧力が陸のプレートへかかっている。この緯度は東京湾北部とほぼ同じであり、一連の関東付近の大地震の最初の事例として、この緯度付近での首都直下地震が起こる可能性が高い。
いつ頃これが起こるかが問題だが、伊豆・小笠原海溝付近でのM6以上地震、特にM7級が起こると切迫していると考えるべきだと思う。2010年12月に父島近海でM7が発生し、その後M5以上地震が頻発した。この約3か月後に311大地震が起こっている。なお、この父島近海地震の更に前には小笠原諸島西方沖地震がM6級で起こっていて、東日本から1000キロ以上離れたところでの太平洋プレートの沈み込みが数か月から半年程度の間隔をあけて東日本付近での太平洋プレートの西進圧力増加につながっていることが分かる。なお、千島列島付近(千島海溝)でM7が発生しても同じような影響があると思う。
最後に、西日本のフィリピン海プレートの沈み込みは原則的に台湾島が中国大陸に追突したために止まってしまっていて、マグマの発生も減少傾向にあると思われます。そのため、311大地震の前回版であった貞観地震869年の前後に発生した開聞岳の噴火も今後の発生可能性はかなり小さいと思われます。
但し、台湾島についても、やがてフィリピン海プレートと台湾島の基底部が分離してしまい、フィリピン海プレートの沈み込みが大きく起こるようになるはずで、その時には開聞岳や南西諸島の火山噴火が本格的に再開するはずです。何千年とか何万年といった未来の話のはずです。
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