「日本の財政は『3つの大丈夫』があるから破綻しない、は本当か」( https://ascii.jp/elem/000/001/696/1696544/ )という記事があります。三井住友銀行 チーフ・エコノミスト 西岡純子という方が書いたものです。
なかなかよく日本の実情が述べられていると思いますが、首都圏大地震などの自然災害をきっかけとするインフレの影響について分析がされていないと思います。
1995年の阪神大震災の被害額が5000億円程度、2011年の311大地震が20兆円程度とされていますが、首都圏大地震の被害額は建物被害だけでおよそ100兆円とされていて、首都圏大地震が起こった際に、円高に振れるとはとても思えません。
更に、2011年と比べて、国の公債発行残高は2割程度増加しています。少子高齢化も進み、企業の国際競争力も低下傾向です。
そもそも、国の資産があるから大丈夫だというような議論は根本的に矛盾しています。つまり、資産がありながら、借金をする場合、それが合理性を持つのは、その資産の価値が今後大きく値上がりして、借金をしてもその利子を含めた返済総額よりも、その資産の将来価値が高くなる場合のみです。
つまり、現在の議論は、資産があるとだけ言っていて、その将来の価値の算定ができていないのです。少子高齢化社会において、日本国が持っている道路とかさまざまな施設の価値が今後増加するかどうか、かなり疑問です。
更に大きな影響があるのは、今後は内陸性の直下型地震が多くなることであり、高層ビルなどが地震が発生する前は資産であったものが、地震で被害を受けてしまうと、一気に負債に変身してしまうことです。
資産があるというなら、借金をするのは先延ばしして、まずその資産を売り払うべきです。実際には資産の売り払いはほとんどできていず、売り払うと、帳簿にある価格よりも大幅に少ない金額での売却になり、売却損が出てしまうというのが実情ではないのでしょうか。グリーンピアの例などがその典型です。
埼玉県の県債残高が
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0103/documents/h30kensaizandaka.pdf
に載っています。
これによると、臨時財政対策債を入れた県債残高は、この資料に載っている平成13年以降、平成30年まで、一貫して増加しています。
平成13年の残高が約25000億円、平成30年が約38290億円ですから、増加率は53%にもなります。このうち、臨時財政対策債の伸びが非常に大きく、「我が埼玉県でも平成13年度には臨時財政対策債の残高が236億円からスタートしたものが、平成28年度には1兆6,210億円」( https://www.pref.saitama.lg.jp/e1601/gikai-gaiyou/h2902/d020.html )と県債残高の約半分にまで激増しています。
仮に、5%のインフレが発生したとすると、国や県の財政はどうなるでしょうか。国債や県債の発行利率は1%よりも小さいため、そういった債券を持っている金融機関はいっせいに売り払いをしようとするでしょう。よって、国や県は5%のインフレ率よりも大きな利率で国債や県債を発行するしかありません。6%での発行としましょう。埼玉県の場合、「県の29年度決算状況}( https://www.pref.saitama.lg.jp/a0301/sainokuni/sainokuni-kensei-2p3010.html )には、県債発行額が2500億円程度と載っています。現在は、0.5%程度の利率で発行できているため、この分の一年間の返済額は、直近で13億円程度ですんでいますが、6%となると、150億円もの金額を1年当たり返済する必要が出てきます。
なお、この6%という数値は相当に楽観的な見積もりです。なぜなら、金融機関や投資家は国や県が今後利益を上げることができるとは考えないだろうからです。つまり、現実的には15%程度の利率を示さないと、県債の買い手は出てこないと思われます。
市場では、国債や地方債の低い利率で発行されたものが、大量に売りに出され、長期の債券ほど値下がり率が大きくなっていくはずです。金融機関の財務は急激に悪化するため、さまざまな形でビジネスが縮小していくでしょう。
現在、ある意味、繫栄をしていた、つまり、低金利による国債・地方債発行の恩恵を受けていたところほど、大きな反動があるです。
当然、国はいろいろな対策を打つでしょう。たとえば、貸しはがしの禁止などです。黒字倒産が発生しないように金融機関へ御触れを出すわけです。物価の統制もするでしょう。しかし、政府がいくらがんばっても、それは国内だけです。
国外からの輸入に関しては、政府が左右できるものではないのです。輸入品の値上がり、つまり、円安に対しては打つ手がないのです。
このことから、円安対策をインフレが始まる前にやっておく必要があることがわかります。食料とエネルギーの自給率を高める必要があるのです。
このことの、もっとも重要で根本的な対策は、人口の都市部から地方への移転です。
次に有効な対策は地熱開発です。
寒冷化の時代は、確実に大地震も大型台風も、洪水も同時に発生するため、太陽光や風力発電はあまり機能しないのです。
公務員の方たちこそ、地熱開発に熱心に取り組むべきなのです。
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