台風15号と台風19号では被害の発生の仕方がかなり違いました。 台風15号では、電柱がへし折られる ほどの風の被害がありました。しかし台風19号では風はあまり被害を及ぼしませんでした。反対に雨の被害が多くありました。
この違いは何かについて自分なりの考えをまとめてみました。
まず発生時期が違います。 台風15号がまだ夏の名残が色濃く残っていた9月当初に発生をしたのに対し、台風19号は10月もかなり半ばに近い時期に発生をしました。 この違いは主に陸域の 地表面温度の違い です。 つまり台風15号の時には陸域の地表面の温度がかなり高い状態であったわけです。
次に台風15号と台風19号では大きさがかなり違いました。具体的には雨雲の発生している領域が全く違ったわけです。半径にして多分4倍から5倍程度の違いがあったと思います。 そのため上陸前かなり早い時期から、台風19号では陸域で雨が降り始めました。 台風19号上陸の直前に降った雨は地表面の温度を急激に下げていったわけです。 夏に路上に打ち水をするのと同じで 地表面に落ちた雨粒は気化熱で地表面の温度を下げていきます。
雨が降るのは海域でも同じじゃないかと思われるかもしれません。 しかし 、海域で降った雨は海面温度をあまり下げません。
なぜならば、現在の海面温度が高い原因は地下深くから上がってくるマグマの熱だからです。 それが証拠に、海面温度が高いだけではなく、海面から深さ40 M 程度のところまで の海水の温度が相当に上昇しているのですのです。
そのため、雨粒が海面にあたり温度を一時的に下げても、すぐに熱対流が起こり、少し下の 海水が上に上がってきてしまって、海面温度が高いままに保たれてしまうわけです。
それに対して、陸域で雨が降ると、すぐに雨が蒸発をします。その気化熱によって地表面の温度が下がっていきます。
以上の二つの効果によって、上昇気流がかなり弱くなってしまうと思われます。上昇気流が弱くなれば、当然上昇気流に伴って発生をする風も弱くなってしまうわけです。
もう一つ別の要素があるのではないかと思います。それは 主に関東地方の地形に関することです。 つまり今回はかなり早い時期から雨雲が関東地方にかかり始めました。 関東地方は基本的に南東方向に平野が開けていて、西側及び北側に山があります。
台風19号の非常に広く発達した雨雲が、比較的早い時期に、山にぶつかり、そこで雨を降り始めさせたいったわけです。 雨が降り始めれば当然一気に気温が下がります。 そうすると、 後続してくる 台風本体の雨雲内で雨が降りやすくなるものと思われます。これは、 簡単に言えば、台風が寒冷前線に突き当たるのと同じことです。 台風本体の暖かい空気が、冷えた空気に触れることによって、より 雨が降りやすくなっていくわけです。
またこれについてはあまり自信がありませんが、次のような仕組みがあるのかもしれません。
つまり上空1万メートルくらいのところで、水蒸気から雨粒が形成されていき、それが空気中を地表へと向かって落ちてくるわけです。当然その途中で、雨粒は周囲の 空気の温度を下げて行きます。なぜならば 上空1万 M 程度の高さの 気温は相当に低いからです。
地表近くの空気の温度が下がれば、当然上昇気流は弱くなっていきます。 よって雨が大量に降り出すと風速は遅くなっていくと思われます 。つまり雨台風と風台風は共存しない、必ずどちらかになるのではないかと思われます。
自分は台風19号の発生を見て、相当に暴風雨の被害がある、つまり強風の被害があると予想をしました。しかしこの予想をする前に台風15号と台風19号の条件の違いをもう少し考えてみるべきだったと反省をしています。 一つには上に書いたように、発生時期や台風そのものの大きさの違いがありました。
さらに、自分は東京湾を台風19号が 辿っていくことから、上陸後も勢力があまり衰えないのではないかと思っていたのです。 しかしながら、考えてみれば当然ですが、東京湾の面積は 台風19号の 大きさに比べれば格段に小さいわけで、 台風の勢力維持に対する効果はほとんどないわけです。
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