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日本付近の地震活動に異変

日本付近の地震活動に異変


数日といった短期間での大きな地震の切迫と言うことではないのですが、いろいろな点でこの8月以降、日本の地震の起こり方に異常があります。


1.日本気象協会の震央分布図の8月の日本全体や東日本を見ると、関東地方の東方沖合で地震が多発していることが分かります。具体的には茨城県沖での地震多発です。これは、基本的には今年2月からの福島県沖や宮城県沖のM7クラスの地震を受けてのもので、東日本の東方遥か沖を南北に走る日本海溝から太平洋プレートが沈み込みをしていて、その沈み込みがいよいよ関東地方の緯度で本格化してきているという意味です。


2.日本海溝は北端が襟裳海山で、そこから千島海溝へつながっています。南端が鹿島第一海山で、ここから伊豆・小笠原海溝へつながっています。襟裳海山から鹿島第一海山の間の福島県と茨城県の県境あたりで、太平洋プレートの沈み込み角度が大きく変化していて、茨城県以南は以北から見ると、沈み込みの角度が大きくなっています。これは関東の陸のプレートの直下にフィリピン海プレートがあり、そのフィリピン海プレートの下へ太平洋プレートが沈み込んでいるためです。よって、日本海溝沿いの大きな変化点としては、襟裳海山、福島県いわき沖(茨城県との県境付近の沖合)、鹿島第一海山があることになります。


3.この半年程度、茨城県沖の地震は鹿島第一海山の西側の海域で起こってきていて、311大地震以降でこの地域でこのように地震多発があったことはありません。つまり、311大地震以降初めて太平洋プレートの沈み込み圧力が鹿島第一海山付近に大きく働き始めているのです。


4.8月の日本全体での震度1以上地震の起こり方を見ると、後半に陸域地震が多発しています。前半:陸域:24件、海域:50ですが、後半:陸域:45件、海域:28件です。この傾向は特に関東で顕著で、この8月は、前半:陸域:1件、海域:20件ですが、後半:陸域:11件、海域:4件です。


*関東地方の2021年1月以降の半月ごとの陸域・海域地震数

01月15日まで:11件(陸域:3件、海域:8件)陸域÷海域=0.38

01月16日以降:11件(陸域:8件、海域:3件)陸域÷海域=2.67

02月15日まで:13件(陸域:8件、海域:5件)陸域÷海域=1.60

02月16日以降:10件(陸域:7件、海域:3件)陸域÷海域=2.33

03月15日まで:14件(陸域:6件、海域:8件)陸域÷海域=0.75

03月16日以降:10件(陸域:5件、海域:5件)陸域÷海域=1.00

04月15日まで:5件(陸域:2件、海域:3件) 陸域÷海域=0.67

04月16日以降:23件(陸域:5件、海域:18件)陸域÷海域=0.28

05月15日まで:23件(陸域:10件、海域:13件)陸域÷海域=0.77

05月16日以降:20件(陸域:8件、海域:12件)陸域÷海域=0.67

06月15日まで:7件(陸域:4件、海域:3件) 陸域÷海域=1.33

06月16日以降:13件(陸域:1件、海域:12件)陸域÷海域=0.08

07月15日まで:8件(陸域:1件、海域:7件) 陸域÷海域=0.14

07月16日以降:26件(陸域:5件、海域:21件)陸域÷海域=0.24

08月15日まで:21件(陸域:1件、海域:20件)陸域÷海域=0.05

08月16日以降:15件(陸域:11件、海域:4件)陸域÷海域=2,75


上の推移で、特に大きく変化しているのがこの8月であり、前半は極端な海域多発で後半は陸域多発です。また、6月後半以降、海域多発が8月前半まで続いていたこともあり、関東付近での地震の起こり方が大きく変化しつつあることが分かります。


5.ごく短期の話ですが、HI-net自動処理震源マップの「最新7日間」の「日本全国広域」を見ると、200キロよりも深い深発地震を示すドットの分布が日本海側で5個程度、太平洋側で1個のみであり、太平洋側での深発地震数がかなり減少しています。通常は太平洋側が多数で、伊豆・小笠原での深発地震数が4から5個程度あることを考えると、伊豆・小笠原海溝での太平洋プレートの沈み込みが抑制されていると思えます。また、通常、日本海側は深発地震数が多くても3個程度であり、5個もあるのは多発です。つまり、日本海溝からの太平洋プレートの沈み込みが活発化していて、しかしながら、伊豆・小笠原海溝からの沈み込みは止まっていると見えるのです。


6.大きな地震が起こる可能性があるのは次の3つの地域です。

①東京湾北部から千葉県北西部付近

このあたりは、鹿島第一海山とほぼ同じ緯度であり、鹿島第一海山にかかる太平洋プレートの西向き沈み込み圧力が鹿島第一海山付近の固着域から陸のプレートへ伝達され、その結果、比較的震源深さの浅い(多分80キロから30キロ)のM7クラスの地震が起こる可能性があります。

②鹿島第一海山付近の大きな固着域が滑る大地震。確実にM8規模であり、津波を伴った非常に大きな被害を出すと思える地震です。

③伊豆鳥島やまたは八丈島付近を震源とする津波を伴ったM8程度の地震。この地震が起こると、相模湾沿岸部は津波被害を受けます。東京湾も同様です。


7.5.で述べたことに関連して、東日本一帯で比較的大きな地震が数日中に起こる可能性が高いと思います。地域の特定はできません。


どちらにしろ、今年2月の福島県沖M7以降、本格的に関東での大きな地震が切迫しつつあり、いろいろな意味で用心が必要だと思います。

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